MENU

048-229-2765
受付時間:平日 10時-17時

〒332-0012
埼玉県川口市本町4丁目3ー6 210
TEL 048-229-2765

HOME > コラム > 家業の跡継ぎへ遺産を全額わたす方法とは?注意すべき遺留分についても徹底解説!

大谷

Columnお役立ち情報

中小企業経営者に役立つ情報を
お届けします

相続

家業の跡継ぎへ遺産を全額わたす方法とは?注意すべき遺留分についても徹底解説!

相続

記事をSHEREする

相続においては、民法で定められた法定相続人が遺産を相続することが一般的です。そして、各相続人は被相続人との関係によって法定相続分が決められており、一定の割合で相続財産を分配します。

 

それでは、特定の相続人へ遺産を全額わたしたい場合はどうすれば良いのでしょうか?本記事では、家業の跡継ぎへ遺産を全額わたす方法について、注意すべき「遺留分」の基礎知識を交えながらわかりやすく解説します。

 

 

また、公式ラインをご登録いただいた方に無料相談をプレゼントしております。記事をご参考いただき不明点がありましたら、ぜひご相談ください。

 

 

 

 

 

法定相続分とは?

 

まずは法定相続分について正しく理解しておきましょう。法定相続分とは、遺産を分割する際の目安となる考え方であり、被相続人と相続人の関係によって遺産の相続割合が決められています。

 

ただし、実際の相続では相続人同士の「遺産分割協議」により最終的な相続割合が決まります。そのため、法定相続分はあくまでも目安であり、強制力を持たないものであるという点は理解しておきましょう。

 

遺産分割協議に関心のある方は以下の記事が参考になります。

 

 

以下、法定相続分の計算方法をパターン別にまとめます。

 

法定相続分の計算方法

 

このように、法定相続分はパターンごとに遺産の相続割合が決められています。相続人が 1 人のみの場合は、その相続人が遺産のすべてを相続しますが、相続人が複数存在する場合は一定の割合で遺産を分けることになります。

 

 

家業の跡継ぎに遺産をすべてわたせる?

 

次に、相続のよくあるケースをご紹介します。相続人が複数存在するものの、家業の跡継ぎを担う長男にすべての遺産を相続したい、という場合について考えてみます。

 

上述した通り、法定相続分はあくまでも目安であり、強制力を持っているものではありません。そのため、遺産分割協議で全相続人の合意を得られれば、遺産のすべてを長男が相続することも可能です。

 

しかし、現実的にはそう簡単に話が進むことはないでしょう。当然ながら他の相続人も遺産を手にしたいと考えますし、長男が遺産をすべて相続することは容易ではありません。

 

このような場合、遺言書が有効な手段になります。遺言書とは、被相続人(亡くなった人)が自身の遺産について、相続人となる対象者や遺産分割の割合などを生前に定めておくための書類です。

 

そして、遺言書は法定相続分よりも優先されるため、生前に遺言書を残しておけば、家業の跡取りとなる長男に遺産をすべてわたすことが可能になります。

 

遺言書について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。

 

遺言書とは

 

 

遺言書による相続は遺留分に注意

 

遺言書を利用すれば、特定の相続人にすべての遺産を相続することが可能です。ただし、この場合は「遺留分」について十分に注意する必要があります。

 

遺留分とは、法定相続人の保護を目的に設けられた制度です。相続では、法定相続よりも遺言書が優先されるため、先程のケースのように「特定の相続人にすべての遺産を相続する」という遺言が遺されていた場合、他の相続人は遺産を相続することができません。

 

そのため、一定範囲の法定相続人に対して最低限の遺産を取得するための権利を与えるのが遺留分制度です。民法では、遺留分が認められている法定相続人は「兄弟姉妹以外の相続人」として定められており、配偶者や子、親などに対して遺留分が認められています。

 

以下、遺留分の計算方法をパターン別にまとめます。

 

遺留分の計算方法

 

このように、相続人の立場ごとに認められている遺留分の割合が定められています。つまり、家業の跡継ぎが遺言書の内容に沿って遺産をすべて相続した場合でも、他の相続人から遺留分を請求される可能性がある、ということです。

 

遺留分について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。

 

遺留分・寄与分

 

 

 

家業の跡継ぎに対する相続を考える際は、遺留分に関する民法特例が重要なポイントの一つになります。これは経営承継円滑化法という法律で定められており、正式名称は「遺留分に関する民法の特例」です。

 

この民法特例では、会社または個人の事業経営を承継する際、先代経営者の推定相続人全員(遺留分を有する者に限る)の合意のもと、先代経営者から跡継ぎへ遺された自社株式や事業用資産の価額について、特定の法的手段を取ることができます。なお、推定相続人とは、先代経営者の相続人であると推定される人のことを指します。

 

このように、家業の跡継ぎや事業承継に関しては、遺留分の民法特例が存在します。この特例を活用することで、後継者への遺産相続を円滑に進められるでしょう。

 

 

遺留分に関する民法特例の 2 つの法的手段

 

遺留分に関する民法特例で利用できる法的手段としては、主に「除外合意」と「固定合意」の 2 つが挙げられます。本章では、それぞれについて具体的な内容をご紹介します。

 

 

除外合意

 

除外合意とは、自社株式の価額に関して、遺留分を算定するための財産価額から除外できるものです。なお、個人事業の場合は株式ではなく、土地や建物などの事業用資産の価額が対象になります。

 

除外合意を利用することで、先代経営者から跡継ぎが取得した自社株式や事業用資産の価額について、他の相続人は遺留分の請求ができなくなります。そのため、遺留分のトラブルを回避するための有効な手段だと言えるでしょう。

 

 

固定合意

 

固定合意とは、自社株式の価額に関して、遺留分を算定するための財産の価額に算入する価額を合意時の時価に固定できるものです。固定合意は、自社株式の価額が上がった場合でも遺留分の金額に影響しないため、想定外に高額な遺留分を主張されることを回避できます。

 

なお、固定合意は自社株式の場合のみ利用可能であり、固定合意時の時価は「合意時に相当な価額である」という税理士や公認会計士、弁護士などによる証明が必要となります。

 

 

遺留分に関する民法特例の適用条件

 

遺留分に関する民法特例を適用するためには、一定の条件を満たす必要があります。

 

以下、遺留分に関する民法特例の適用条件を表にまとめます。

 

遺留分における民法特例の条件

 

このように、遺留分に関する民法特例は、会社と個人事業のどちらに該当するのかによって適用条件が分かれています。また、先代経営者や後継者の状況に応じて適用可否が変わるため、求められる条件を正しく理解しておきましょう。

 

 

遺留分に関する民法特例の適用手順

 

遺留分に関する民法特例を適用するためには、

 

1.合意書の作成

2.経済産業大臣の確認

3.家庭裁判所の許可

 

という 3 つの手順を正しく進めていく必要があります。

 

まずは、先代経営者の推定相続人全員と跡継ぎ(後継者)が合意を行い、その内容をもとに合意書を作成します。そして、合意した日から 1 ヶ月以内に必要書類を経済産業大臣へ提出します。

 

その後、経済産業大臣から「確認書」が交付されたら、経済産業大臣の確認を受けた日から 1 ヶ月以内に家庭裁判所へ必要書類を提出するとともに申立てを行い、家庭裁判所の許可を得ます。

 

なお、状況によっては遺留分に関する民法特例を適用できないケースも存在するため、そのような場合は遺留分に配慮して遺言書を作成したり、後継ぎを生命保険金の受取人に指定して遺留分請求に備えたりするなど、何かしらの対策を講じておきましょう。

 

 

事業承継における遺留分の注意点

 

事業承継においては、遺留分について十分に考慮する必要があります。具体的にどのような点に注意するべきなのか、代表的な内容をいくつか解説します。

 

 

遺留分侵害のリスクがある

 

事業承継を円滑に進めるためには、後継者に事業の中核となる資産を集中的に引き継ぐことが必要です。しかし、この場合は他の相続人の遺留分を侵害してしまうリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。

 

遺留分を無視した資産分配を行うと相続人同士のトラブルが生じ、事業の安定性に悪影響を及ぼす恐れがあります。特に、会社の株式や事業用不動産といった資産の偏りが問題になるケースが多いため、計画段階から配慮しておくことが大切です。

 

 

遺留分侵害額請求を受ける可能性がある

 

遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求を行う権利を持っています。この請求が発生した場合、後継者が侵害分を金銭で補填しなければならない可能性があるため、この点にも十分に注意が必要です。

 

特に、事業の運転資金や重要な資産が請求への対応で失われた場合、事業運営に深刻な支障をきたすリスクがあります。このような事態を回避するためには、遺留分を考慮した事前準備や相続人同士の十分な話し合いが不可欠だと言えるでしょう。

 

 

遺留分の事前放棄は相続人の負担が大きい

 

遺留分侵害のトラブルを未然に防ぐ方法として、相続人に遺留分を事前に放棄してもらう選択肢が挙げられます。ただし、事前放棄には家庭裁判所の許可が必要であり、その手続きには多くの時間や労力が掛かります。

 

また、相続人にとっては、自身の権利を放棄することへの心理的な負担や将来の不安も伴うでしょう。このように、仮に放棄を承諾してもらえたとしても、その後の関係悪化を招くリスクも否定できないため、遺留分の放棄を選択する際には、慎重に事前説明を行うことが求められます。

 

 

民法特例の適用には推定相続人全員の合意が求められる

 

遺留分に関する民法特例は、事業承継を円滑に行うための便利な制度ですが、この特例を活用するためには、推定相続人全員の合意が必要となります。仮に、相続人の中に一人でも反対する人がいた場合、民法特例を利用することは難しくなります。そのため、相続人全員に対して丁寧に事前説明を行い、あらかじめ理解を得ておくことが大切です。

 

 

生命保険の活用も有効な選択肢になる

 

生命保険を活用すれば、遺留分対策をよりスムーズに進めることが可能です。例えば、後継者以外の相続人に生命保険金を割り当てることで、現金で遺留分を補填するようなケースが挙げられます。

 

これにより、不動産や株式といった事業資産を手放すことなく、他の相続人の権利を守ることができます。また、生命保険金は相続発生時に迅速に支払われるため、遺産分割協議の前に資金の準備が整うというメリットもあります。

 

このように、計画的に生命保険を活用することで、後継者と相続人全員の負担軽減に繋がります。注意点というわけではありませんが、生命保険は遺留分対策として有効な選択肢になることを覚えておきましょう。

 

 

事業承継に役立つ制度・窓口

 

事業承継を検討している場合、遺留分に関する民法特例以外にも、活用できる制度や窓口が複数存在します。最後に、事業承継に役立つ制度・窓口についてご紹介します。

 

 

事業承継税制

 

事業承継税制とは、中小企業が円滑に事業を次世代に引き継げるよう、相続や贈与にかかる税負担を軽減するための制度です。この制度を活用することで、後継者が受け継ぐ事業資産に対して課せられる相続税や贈与税が猶予または免除されます。

 

適用を受けるためには、計画的な準備や一定の条件を満たす必要がありますが、税負担が軽減されることで、後継者が事業運営に専念できる点は大きなメリットだと言えるでしょう。

 

 

事業承継・引継ぎ支援センター

 

全国各地に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」は、事業承継に関する相談窓口として非常に頼りになる存在です。この支援センターでは、後継者不在の経営者や承継計画に悩む企業に対して、無料でアドバイスを提供しています。

 

また、後継者の選定や事業承継計画の立案だけではなく、 M&A や第三者承継のサポートも行っており、幅広いニーズに対応可能となっています。

 

 

金融支援・経営者保証解除支援

 

一部の金融機関では、承継資金を低金利で融資する金融支援制度を設けている場合があります。また、中小企業庁が発表している経営者保証ガイドラインに基づき、後継者が新たに経営を引き継ぐ際、経営者保証を解除する手続きも可能です。

 

これらを活用することで、後継者の心理的・金銭的な負担を軽減し、事業運営のリスクを最小限に抑えられるため、事業承継の計画段階から各種支援制度の活用を検討するとよいでしょう。

 

 

まとめ

 

本記事では、家業の跡継ぎへ遺産を全額わたす方法について、注意すべき「遺留分」の基礎知識を交えながらわかりやすく解説しました。

 

相続には法定相続分という考え方が存在し、相続人の立場によって遺産の相続割合が定められていますが、遺言書を使えば家業の跡継ぎへ遺産を全額わたすことも可能になります。

 

ただし、相続においては遺留分制度が設けられているため、家業の跡継ぎが遺言書の内容に沿って遺産をすべて相続した場合でも、他の相続人から遺留分を請求される可能性があります。

 

遺留分には除外合意や固定合意などの民法特例を適用できるため、これらを活用して遺留分のトラブルを回避することが重要なポイントです。仮に民法特例を適用できない場合でも、何かしらの対策を講じておきましょう。

 

とは言え、相続は考慮すべき要素が多く、自分ひとりで判断することが困難なケースも存在します。そのような場合は専門家に助言を求めることをオススメします。

 

そして、相続に関してお悩みであれば、ぜひ大谷聡税理士事務所へご相談ください。これまで培ってきた豊富な知識・経験をもとに対応させていただくのはもちろんのこと、損をしないための税金対策に関してもアドバイスさせていただきます。

 

無料相談もお受けしていますので、まずは以下のフォームからお気軽にご連絡ください。この記事が、あなたのお悩み解決に少しでもお役に立てば、と切に願っております。

 

 

 

記事をSHEREする

この記事を書いた人

大谷 聡

埼玉県川口市に拠点を構える大谷聡税理士事務所の代表。元大手銀行出身の税理士であり、中小企業診断士、社会保険労務士・行政書士・不動産鑑定士・宅建士、証券アナリストなど多数の資格を保持。 融資相談から相続相談まで、税務のことだけでなく、経営者の真のパートナーとして、総合的なサポートをすることがモットー。

CONTACT

税理士に経営の相談をしてみませんか?
まずは無料相談へ

まずは資料請求をしてみたいという方へ
資料請求はこちら