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遺留分・寄与分とは?特別受益の持戻しや遺留分減殺請求まで徹底解説!
相続において、民法では「遺留分」や「寄与分」などが認められており、相続人が最低限の遺産を取得できたり、財産の維持・増加に貢献した場合は他の相続人よりも多くの遺産を取得できたりする制度が存在します。
本記事では、遺留分や寄与分の概要をご説明しつつ、特別受益の持戻しや遺留分減殺請求など、関連用語をわかりやすく解説します。相続について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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遺留分・寄与分とは?
民法には「遺留分」と「寄与分」という 2 つの考え方が存在し、いずれも相続人が相続財産を適正に受け取ることを目的とした制度となっています。
ただし、これらは混同されることも多いため、まずはそれぞれの概要と違いを正しく理解しておきましょう。
相続財産について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
遺留分
遺留分とは、法定相続人を保護することを目的に設けられた制度です。法定相続人とは、配偶者や子供、親など、被相続人と近い関係にある親族を意味する言葉です。
相続では、法定相続よりも遺言が優先されるため、仮に「親族以外の第三者 A に遺産のすべてを相続する」という遺言が遺されていた場合、法定相続人である親族は遺産を相続することができません。
このようなケースに備えて、一定範囲の法定相続人に対して最低限の遺産を取得するための権利を与えるのが遺留分制度です。遺留分により、被相続人の遺族(法定相続人)は生活困窮に陥るリスクを低減できると言えるでしょう。
遺留分について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
寄与分
寄与分とは、特定の相続人が相続財産の維持・増加に貢献した場合、他の相続人よりも多くの財産を受け取ることができる制度です。
通常の相続では、法定相続分に従って遺産分割が行われることが一般的ですが、仮に生前の被相続人に対して多大な貢献をした相続人がいる場合、法定相続分のみで遺産を分配すると不公平が生まれてしまいます。
そこで、相続財産の維持・増加に貢献した相続人の相続遺産を増やし、相続人同士の不公平感を払拭しようというのが寄与分の基本的な考え方となっています。
ただし、寄与分を適用するためには様々な条件を満たす必要があり、以下の 5 点をすべて達成しなければいけません。
寄与分は「相続人であること」を大前提として成り立つものであり、親族以外(仲の良い友人など)には適用されません。なお、従来は「被相続人の子の配偶者」は寄与分が認められていませんでしたが、 2019 年 7 月 1 日の民法改正により認められるようになりました。
また、対象者が財産の維持または増加に貢献することが寄与分が認められるための条件になりますが、通常の貢献では寄与分の適用対象とはならず、特別の寄与(期待される以上の貢献)をして初めて、寄与分が認められることを覚えておきましょう。
加えて、寄与分が認められる行為は無償または無償に近いことが求められており、かつ、一過性のものではなく継続的にその行為を行う必要があります。
このように、寄与分が認められるためには様々な条件をクリアする必要があるため、多少貢献したからと言って簡単に適用されるものではない、という点には注意してください。
特別受益の持戻しと遺留分減殺請求
ここまで、遺留分と寄与分について解説しましたが、相続では他にも考慮すべきポイントが存在しており、代表的な例として「特別需給の持戻し」と「遺留分減殺請求」が挙げられます。
これらも相続に大きな影響を与えるものであるため、遺留分・寄与分とあわせて内容をご説明します。
特別受益の持戻し
特別受益とは「相続人が被相続人から受けた優遇的な遺贈・贈与」を意味する言葉であり、これは民法 903 条 1 項に明記されています。
特別受益の代表例としては、以下のようなものが挙げられます。
このような遺贈や贈与を受けた相続人は、他の相続人と比較して多くの金銭を受け取ることになるため、相続人の間で不公平が生まれてしまいます。そこで、この不公平を是正するために「特別受益の持戻し」が有効な手段となります。
特別受益の持戻しとは、特定の相続人が特別受益を受けた場合、その金額を相続財産に加えて計算することで、各相続人の相続分を公平に分割しようとする考え方です。
ただし、特別受益の持戻しは免除することも可能です。例えば、遺言書で被相続人が明確な意思表示をしている場合は、特別受益の持戻しを免除することができ、相続人全員が特別受益を考慮せずに相続財産を分割することになります。
遺留分減殺請求
遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害された者が贈与または遺贈を受けた者に対して、遺留分侵害の限度で贈与または遺贈された物件の返還を請求することです。当事者間で解決ができない場合は,遺留分の権利者は家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
また,遺留分減殺請求を行うためには相手方に対する意思表示が必要になりますが、この意思表示は「相続開始および減殺すべき贈与または遺贈のあったことを知った時から 1 年」または「相続開始の時から 10 年」と期間が定められており、以降は請求することができないため注意が必要です。
なお、仮に寄与分によって遺留分を侵害された場合でも、それを理由に遺留分減殺請求を行うことはできません。なぜなら、遺留分減殺請求を受ける人は「受遺者または受贈者」と民法で定められているためです。ちなみに受遺者は遺贈を受けた人であり、受贈者は贈与を受けた人を意味する言葉です。
寄与分を認められたとしても、その対象者が必ずしも受遺者や受贈者になるとは限りません。そのため、相手が寄与分とは別に遺贈や贈与を受けていなければ、遺留分減殺請求の対象外になります。
その逆も然りであり、寄与分が認められている人がそのことを根拠に遺留分減殺請求を拒否することは不可能です。前述した通り、遺留分減殺請求は遺贈や贈与に対する請求となるため、寄与分とは切り離して考えるべきだと言えます。
まとめ
本記事では、遺留分や寄与分の概要をご説明しつつ、特別受益の持戻しや遺留分減殺請求など、関連用語をわかりやすく解説しました。
遺留分と寄与分は一見すると似ている言葉ですが、両者はまったく別物であり、どちらも相続における重要なポイントになるため、それぞれの内容を正しく理解しておきましょう。
また、遺留分と寄与分以外にも、特別受益の持戻しや遺留分減殺請求など、相続に大きな影響を与えるものも存在します。そのため、相続を行う際には様々な要素を考慮する必要があります。
ただし、相続の考え方は複雑かつパターンが多岐にわたるため、すべてを自分ひとりで解決するのは困難であると言えます。そのような場合は、専門家に助言を求めることをオススメします。
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