贈与税は贈与に対してかかる税金であるため、何かを売却した際には発生しないことが一般的です。しかし、子どもへ自宅を売却した場合、状況によっては贈与税が発生する可能性があることをご存知でしょうか？

本記事では、子どもへの自宅売却時に贈与税が発生するケースについて、みなし贈与の基礎知識を交えながらわかりやすく解説します。相続や贈与について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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贈与とは？

はじめに、贈与の基本について理解しておきましょう。

贈与とは「自身の財産を無償または負担付きで第三者に譲ること」を意味する言葉です。一般的には、贈与を行う人が財産を譲る旨の意思表示を行い、その内容について相手が承諾することで正式に贈与が成立します。

そのため、自分の財産を誰かに贈与したいと考えている場合でも、相手の同意なしで贈与を行うことはできません。事前に贈与の内容を説明し、相手の同意を取得する必要があります。

また、贈与を行う際には「贈与税」と呼ばれる税金が発生しますが、贈与税には「暦年課税」という考え方があり、相続税と同様に基礎控除が設けられています。贈与税の基礎控除による非課税枠は「年間 110 万円」であるため、贈与を受けた金額が年間 110 万円までであれば、贈与税を支払う必要はありません。

また、基礎控除は「贈与を受ける人」に対して設けられている非課税枠であるため、仮に複数人から贈与を受けたとしても、その合計額が年間 110 万円を超えた場合は贈与税の課税対象となります。

以下、一般贈与財産における贈与税の税率です。

このように、贈与税は贈与された金額が大きくなるほど、その税率は高くなります。また、特例贈与財産（直系尊属から 18 歳以上の人へ贈与する財産）の場合、一般贈与財産と比較して税率が低く設定されています。

なお、贈与には様々な種類が存在するため、それぞれの違いについて知りたい方は以下の記事が参考になります。

みなし贈与とは？

贈与の基本を理解したところで、次は「みなし贈与」についてご説明します。

みなし贈与とは「贈与の意思はなかったものの実質的に贈与を行なったと見なされる行為」を意味する言葉です。みなし贈与に該当する具体的な条件は公表されておらず、税務署がケースごとに「みなし贈与に該当するか？」を都度判断しています。

本来、贈与は両者の同意を前提として成り立つものであるため、贈与税を支払う可能性についても認識していることが一般的ですが、みなし贈与は贈与を行なったことを当事者たちが認識していないため、贈与税の支払いを失念してしまうことも少なくありません。

そのため、みなし贈与を行なった時点では、その行為がみなし贈与であることを意識することはなく、税務調査の結果を受けて「みなし贈与に該当すること」を初めて知る人が多いわけです。

このように、みなし贈与は贈与税対策を検討する際の重要なポイントになるため、内容を正しく理解しておきましょう。

子どもへの自宅売却で贈与税が発生するケース

本章では、子どもに対して自宅を売却する場合に贈与税が発生するのか？という具体的なケースを考えてみます。自身が保有している自宅を子どもに売却することはよくある話です。

ここで問題になるのが「自宅の売却がみなし贈与に該当するのか？」という点です。そして、みなし贈与に該当するか否かは自宅の売却金額が大きく影響することを覚えておきましょう。

仮に、市場価格よりも大幅に低い金額で自宅を売却した場合、その行為はみなし贈与として判断されることが一般的です。みなし贈与として判断されれば、当然ながら贈与税を支払う義務が発生します。

しかし、当事者たちは自宅の売買がみなし贈与に該当することを認識していないため、税務署からの通告を受けて初めて、贈与税の納税義務について知ることも珍しくありません。

みなし贈与だと判断される具体的な金額は決まっていませんが、目安としては「時価の 80 % 未満」で不動産を譲渡した場合は、みなし贈与に該当すると判断される可能性があります。

子どもへ自宅を売却する際は、低い金額を設定する人が多いと思いますが、贈与税の支払いを避けるためには、著しく低い金額で不動産を譲渡しないように注意することが重要なポイントです。

その他、みなし贈与に該当する具体的なケースを知りたい方は以下の記事が参考になります。

まとめ

本記事では、子どもへの自宅売却時に贈与税が発生するケースについて、みなし贈与の基礎知識を交えながらわかりやすく解説しました。

贈与税は贈与に対して発生する税金であるため、原則として物の売買時は発生しないことが一般的です。ただし、贈与には「みなし贈与」という考え方があり、これに該当する場合は贈与税を支払う必要があります。

贈与税の支払いを回避したいのであれば、子どもに自宅を売却する際は「時価の 80 % 以上」の価格を設定することをオススメします。この金額未満に設定した場合、みなし贈与だと判断されて贈与税が発生するリスクがあります。

ただし、相続や贈与は考慮すべきポイントが多く、価格設定以外にも注意すべき点が複数存在します。広い視点で多角的に対策を取らなければ、有効な贈与税対策を講じることは難しいでしょう。

そのため、自分だけの判断で不安な場合は専門家への相談も有効な選択肢になります。プロの目線から助言を受けることができ、スムーズに手続きを進められることはもちろん、困った時に相談を行うことも可能です。

そして、もし相続や贈与に関してお悩みであれば、ぜひ大谷聡税理士事務所へご相談ください。これまで培ってきた豊富な知識・経験をもとに対応させていただくのはもちろんのこと、損をしないための税金対策に関してもアドバイスさせていただきます。

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