Column
お役立ち情報
中小企業経営者に役立つ情報を
お届けします
トラブル実例!マイナスの遺産(借金)が発覚した場合は相続放棄が有効?
相続における遺産と聞けば、現金や不動産、株式などの財産を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、借金をはじめとしたマイナスの遺産も相続の対象になることをご存知でしょうか?
そして、マイナスの遺産(借金)を相続しなければならない時は相続放棄が有効な選択肢になります。本記事では具体的なトラブル実例として、親族の借金が発覚した場合の対策についてわかりやすくご説明します。
また、公式ラインをご登録いただいた方に無料相談をプレゼントしております。記事をご参考いただき不明点がありましたら、ぜひご相談ください。
相続財産とは?
はじめに、相続財産の基本を理解しておきましょう。
相続財産とは、被相続人から相続人へ受け継がれる財産のことです。一般的には「遺産」という言葉が使われることが多いですが、これは相続財産と同義だと考えてください。
相続財産の種類を大きく分けると、
・物権
・債権(債務)
・契約上の地位
の 3 つに分類できます。
相続で受け継ぐものは土地や現金などの財産を思い浮かべる方が多いと思いますが、被相続人が生前に借金や負債、損害賠償責任などを抱えていた場合、それらの負の遺産も相続で受け継ぐ対象になります。
そして、土地や現金などのプラスの遺産を「積極財産」、借金や負債などのマイナスの遺産を「消極財産」と呼ぶこともあります。なお、被相続人が物を買った場合の「買主としての地位」や、物を売った場合の「売主としての地位」など、被相続人が生前に有していた契約上の地位も相続財産として認められています。
相続財産について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
また、相続財産を考える上では「みなし相続財産」が重要なポイントになります。みなし相続財産は相続税法 3 条で定められており「亡くなった時点では被相続人の財産ではなかったが、被相続人の死亡によって相続人が受け取ることができる財産」を意味します。
例えば、生命保険金や死亡退職金などは相続財産に含まれませんが、みなし相続財産には該当します。みなし相続財産には相続税が課税されますが、一定の非課税限度額が設けられており、相続した全額が課税対象になることはありません。
生命保険金や死亡退職金の非課税限度額は、
500 万円 × 法定相続人数
という計算式で算出され、この非課税限度額の超過分に対して相続税が課税されます。
マイナスの遺産(借金)が発覚した場合は相続放棄が有効
ここで、よくあるトラブル実例をご紹介します。被相続人が亡くなって相続財産を整理していたところ、親族が生前に知らなかった借金が発覚したケースについて考えてみましょう。
この場合、遺産を相続した相続人が被相続人の代わりに借金を返済しなければなりません。しかし、相続放棄を選択すれば、被相続人の債務を回避することができます。
被相続人が死亡した場合、一般的な相続では「単純承認」が選択されます。これは被相続人の遺産をすべて相続することを意味しており、相続対象となる遺産には、預金や土地などのプラスの財産だけではなく、借入金をはじめとしたマイナスの財産も含まれます。
一方、相続放棄とは「すべての遺産を一切相続せずに相続権を放棄すること」です。仮に相続人が複数いる場合は、すべての相続人が各自の判断で相続放棄をするかしないかを選択できます。
また、相続人のうち、誰かが相続放棄をした場合、残りの相続人に分配される遺産の相続割合が変動します。そして、遺産を相続する予定だった相続人が全員相続放棄をした場合は、次の優先順位に該当する人が相続人になります。
法定相続人の優先順位や相続割合について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
相続放棄をした場合、プラスの遺産を受け取ることはできませんが、同時にマイナスの遺産を抱える心配もありません。そのため、プラスの遺産よりもマイナスの遺産の方が大きいのであれば、相続放棄をすることで金銭的なメリットを享受できます。
また、相続により何らかのトラブルが発生する可能性がある場合も、相続放棄をすることで争いを回避できます。このように、置かれている状況次第では、相続放棄はとても有効な選択肢になります。
なお、相続放棄の手続きを終えた後にプラスの遺産が発見された場合でも、原則として相続放棄を撤回することは不可能です。そのため、相続放棄を行う時は遺産の状況を細かくチェックして、慎重に判断することが重要なポイントになります。
さらに、相続には単純承認と相続放棄以外に「限定承認」という考え方があり、これは遺産の中にプラスの財産とマイナスの財産が混在している場合、相続によって得たプラスの財産の範囲内でのみ被相続人の債務などを弁済する、という留保付きの相続です。
仮に被相続人に借金があったとしても、限定承認はプラスの財産の範囲内でのみ返済義務が発生するため、大きな金銭的リスクを背負うことはありません。このように、相続には数多くの選択肢が存在するため、それぞれのメリット・デメリットを理解し、状況に合わせて最適なものを選択することが大切です。
単純承認や相続放棄、限定承認について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
まとめ
本記事では具体的なトラブル実例として、親族の借金が発覚した場合の対策についてわかりやすくご説明しました。
原則、借金をはじめとしたマイナスの遺産は相続対象になりますが、相続放棄を選択することで債務を回避できます。この記事を読み返して、重要なポイントを確実に理解しておきましょう。
ただし、相続放棄には手続期限が定められており、この期限を過ぎた場合は法定単純承認に該当し、遺産のすべてを相続する義務が発生します。そのため、必要書類を揃えて迅速に手続きを進めなければなりません。
とは言え、これらの手続きを自分ひとりで期限内に行うのは困難であるため、場合によっては専門家へ助言を求めることも有効な選択肢であると言えるでしょう。
そして、相続に関してお悩みであれば、ぜひ大谷聡税理士事務所へご相談ください。これまで培ってきた豊富な知識・経験をもとに対応させていただくのはもちろんのこと、損をしないための税金対策に関してもアドバイスさせていただきます。
無料相談もお受けしていますので、まずは以下のフォームからお気軽にご連絡ください。この記事が、あなたのお悩み解決に少しでもお役に立てば、と切に願っております。
この記事を書いた人
関連記事
よく読まれている記事