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金融機関の審査が厳しくなる?決算書に役員貸付金の記載がある場合は要注意!

金融機関から融資を受けるためには審査を通過する必要がありますが、決算書に役員貸付金の記載がある場合は要注意だと言えます。なぜなら、役員貸付金は融資審査において不利に働くことが多いためです。
本記事では、決算書や役員貸付金の基礎知識に加えて、決算書に役員貸付金の記載がある場合の注意点についてご説明します。融資を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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決算書とは?
まずは、決算書の概要についてご説明します。
決算書とは、会社の財政状況を報告するための書類です。決算書という名称は俗称であり、法律上は「財務諸表」と呼ばれることが一般的です。
また、決算書は会計年度ごとに作成されることが多く、日本企業の場合は 4 月から 3 月の 1 年間を会計年度と定めている会社が多く存在します。ただし、会社によって会計年度は異なるため、この点は覚えておきましょう。
決算書には様々な種類が存在しますが、
・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書
の 3 つの書類は「財務三表」と呼ばれており、決算書の中でも特に重要なものとして位置付けられています。
決算書を確認することで、その会社の財政状況を正しく理解できます。また、会社の将来性・成長性を計るための指標としても役立つため、企業にとっては非常に大切な書類であると言えるでしょう。
決算書に関心のある方は以下の記事で詳しく解説しています。
役員貸付金とは?
次は、役員貸付金についてご説明します。
役員貸付金とは、会社が役員に対して貸し付けた金銭のことを指します。これは、会計上「貸付金」として計上され、会社が役員に資金を提供した状態を表しています。
例えば、役員が個人的な事情で資金を必要とした際に、会社が貸付を行うケースなどが役員貸付金に該当します。その他にも、会計処理上の都合や役員の給与の調整として、形式上の貸付金が発生することもあり、このような場合も役員貸付金の一種として扱われます。
詳しくは後述しますが、役員貸付金は金融機関からの信用低下や法人税の負担増加など、企業にとって様々な悪影響を及ぼします。さらに、株式会社の場合は株主から疑念を持たれるリスクもあるため、役員貸付金は極力避けるべきものだと言えるでしょう。
役員貸付金に関心のある方は以下の記事がオススメです。
役員貸付金の発生要因
役員貸付金が発生する理由は多岐にわたりますが、ここでは代表的な発生要因を 3 つご紹介します。どのような背景で役員貸付金が発生するのか、具体的な内容を理解しておきましょう。
役員の個人的な資金補填
役員貸付金が発生する代表的なケースとして、役員の個人的な資金補填を行う場合が該当します。例えば、役員が住宅購入や教育費、急な医療費などの個人的な理由で多額の現金を必要とする場合、会社がその不足分を一時的に貸し付けることがありますが、これらの金銭が役員貸付金として会社の帳簿に記載されます。
そして、仮に返済が長期間滞る場合には、税務署から「役員報酬の一部」と見なされ、課税リスクが生じる可能性があります。そのため、役員貸付金で資金補填を行う際は、事前に明確な返済計画を立てることが重要なポイントになります。
経費にできない支出
経費として認められない支出を会社が支払う場合も、役員貸付金として処理されることがあります。これは、本来会社が支払うべきではない費用を会社が一時的に負担した場合、その金銭は役員に対する貸付金として計上されるためです。
例えば、役員の個人的な旅行費や贅沢品の購入代金などが役員貸付金の具体例として挙げられます。このような状況を防ぐためには、会社の支出基準を明確に定めることや、経費の使用目的を徹底的に確認することが大切です。
支払い先が不明な支出
支払い先が不明な支出が発生した際に、仮処理として役員貸付金に計上されるケースもあります。例えば、帳簿上では支出として記録されているものの、支払い先が不明確な場合、その金額が役員が個人的に利用したものと見なされ、役員貸付金として一時的に処理されるケースなどが該当します。
このような場面では、会社の経理処理が適切でないと税務リスクや監査リスクなどを招く可能性が高まります。そのため、支払いの目的や受取人を明確化し、不明な支出が発生しないような管理体制を整えることが役員貸付金の発生を防ぐための有効な対策になります。
決算書に役員貸付金の記載がある場合の注意点
決算書に役員貸付金の記載がある場合、注意すべきことは「銀行融資の審査でマイナス影響を与えることが多い」という点です。
役員貸付金はお金を貸している相手が自社の役員というだけで、あくまで「返済予定のある貸付金」です。そのため、役員貸付金は貸借対照表などの決算書において「貸付金」の勘定科目に該当します。
会社が貸付を行ったということは、その分だけ資金が外部に出てしまったことを意味します。そして、仮に貸付金が回収不能に陥った場合は会社が損失を被ることになり、会社の純資産が減少します。
融資審査は「融資先の支払い能力や信頼性を確認するためのプロセス」であるため、役員貸付金によって純資産の減少リスクがある会社の評価は下がってしまう、というわけです。
そのため、自社の決算書に役員貸付金の記載がある場合は、なるべく早い段階で貸付金を解消することをオススメします。役員貸付金の解消により、融資審査におけるマイナス影響を回避できます。
ちなみに、役員借入金(役員が会社に対して貸し付けた金銭)については、銀行融資に悪影響を及ぼすことはありません。役員借入金は「役員からの増資」に近い意味合いで認識されるため、会社の純資産が増えたとみなされます。
役員貸付金を解消する方法
ここまで、役員貸付金について詳しく解説してきましたが、具体的にどのような方法で役員貸付金を消すことができるのでしょうか?本章では、役員貸付金を解消するための方法を 3 つご紹介します。
役員の自己資金で貸付金を返済する
役員貸付金を解消するための最もシンプルな方法が、役員が自身の資金で貸付金を返済することです。会社から借りた資金を役員個人の貯蓄や収入で返済するため、特別な手続きや帳簿操作は不要になります。
また、この方法のメリットとして、税務リスクが少なく、会社と役員の関係をクリアにできる点が挙げられます。ただし、役員側の資金が十分に確保できている必要があるため、この点には注意が必要です。
役員報酬・役員賞与で貸付金を相殺する
自己資金からの返済が難しい場合は、役員が受け取る報酬や賞与を貸付金の返済に充てる方法もあります。具体的には、会社の帳簿上で役員報酬や賞与額を支払い済みの貸付金と相殺する形で処理を行います。
この方法は、役員報酬が定期的に支払われている場合に適用しやすく、役員の手元資金に影響を与えずに貸付金を消せる点が大きな特徴です。ただし、報酬や賞与が税務上適切な水準であることを確認する必要があるほか、役員報酬や役員賞与は「給与」に該当するため、社会保険料や税金が課せられる点にも注意が必要です。
自己株式の取得対価で貸付金を相殺する
役員が保有する自社株式を会社が買い取り、その買い取り代金を貸付金と相殺する方法も代表的な役員貸付金の消し方の一つです。株式の評価額を適切に算出することで、その株式評価額と同額分の役員貸付金を減らすことができます。
この方法では、税務リスクや株主からの透明性の要求を考慮する必要があるものの、資金の移動を伴わずに処理できる点が大きなメリットです。ただし、役員が保有する自社株式が少ない場合、貸付金と相殺できる金額は小さくなってしまうため、この点には注意が必要です。
なお、今回ご紹介した内容以外にも、役員貸付金を解消するための方法は数多く存在します。以下の記事で詳しく解説していますので、関心のある方はぜひご覧ください。
役員貸付金に関する Q&A
最後に、役員貸付金に関するよくある質問を Q&A 形式でご紹介します。
Q. 役員貸付金の勘定科目は何になりますか?
A. 役員貸付金は、貸借対照表(バランスシート)の「流動資産」または「固定資産」の一部として計上される貸付金勘定科目に分類されます。具体的には、返済期間が 1 年以内の場合は短期貸付金、 1 年以上の場合は長期貸付金として処理されます。この科目は、役員に貸し付けた金額を明確に記録するために使用されるため、適切かつ正確な管理が求められます。
Q. 役員貸付金の適正金利はどの程度ですか?
A. 役員貸付金の金利については、税法上の適正な範囲内で設定する必要があります。日本では、税務上の基準として「国税庁が公表する特例基準割合」が用いられますが、この金利を下回る場合、役員に対して低利貸付の経済的利益が発生するとみなされ、その分が課税対象となる可能性があります。そのため、役員貸付金の金利を設定する際には、このような税務上のリスクを考慮しながら検討することが大切です。
Q. 役員貸付金に利息を設定しない場合はどうなりますか?
A. 役員貸付金に利息を設定しない場合、税務リスクが発生します。税務当局は、利息がない貸付を「役員への利益供与」と判断する可能性があり、その分を給与として扱うことがあります。その結果、役員側で追加の所得税が課され、会社側でも追加の法人税負担が生じるなど、追加徴税が発生するリスクがあるため、役員貸付金には適正な利息を設定し、運用の透明性を図ることが求められます。
まとめ
本記事では、決算書や役員貸付金の基礎知識に加えて、決算書に役員貸付金の記載がある場合の注意点についてご説明しました。
決算書や役員貸付金は、会社を経営する上でとても重要なものです。この記事を読み返して、大切なポイントを正しく理解しておきましょう。
また、役員貸付金は融資審査にマイナス影響を与えるため、自社の決算書に役員貸付金の記載がある場合は早めに解消することをオススメします。ただし、役員貸付金の解消方法は多岐にわたるため、自社にとって最適な方法を選択してください。
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