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融資成功の鍵は残高試算表にあり!金融機関が重視する理由と資金繰り表との違いを解説
事業を継続・成長させていく上で、融資は欠かせない資金調達手段の一つです。設備投資や運転資金の確保、急な資金需要への対応など、融資を受けられるかどうかは経営の安定性を大きく左右します。
そして、融資審査において金融機関が重視する主な資料が「残高試算表」と「資金繰り表」であり、これらは金融機関が企業の実態や返済能力を判断する上で、非常に重要な役割を果たしています。
本記事では、金融機関が残高試算表で見ているポイントや残高試算表の概要、資金繰り表との違いなど、あらゆる観点からわかりやすく解説します。融資や資金繰りでお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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金融機関が融資審査で見ているポイント
まずは、金融機関が融資審査において何を重視しているのかを整理しておきましょう。金融機関が融資審査を行う最大の目的は、貸したお金がきちんと返済されるかどうかを判断することです。
そのため、融資審査では主に以下のような点が総合的に判断されます。
- 会社の収益力は十分か
- 資金繰りは安定しているか
- 直近の業績に大きなブレはないか
- 経営者が数字を把握しているか
そして、これらを判断するための材料として使われるのが、決算書や残高試算表、資金繰り表といった会計資料です。特に、残高試算表は現在進行形の経営状態を把握するための重要な資料であるため、多くの金融機関が重要視しています。
融資に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
残高試算表とは?
次に、残高試算表の概要を見ていきましょう。残高試算表は決算書と混同されることも多いですが、それぞれ役割が異なるため、両者の違いを正しく理解しておくことが大切です。
残高試算表の概要と決算書との違い
残高試算表とは、一定期間時点での各勘定科目の残高を一覧にした表のことです。月次や四半期ごとに作成されることが多く、会社の最新の財務状況を把握するために用いられます。一方、決算書は原則として年1回作成されるものであり、過去の結果をまとめた確定値となります。
つまり、決算書は「過去の成績表」であり、残高試算表は「現在の途中経過」というイメージを持つとわかりやすいでしょう。このように、残高試算表と決算書は異なる役割を持っているため、それぞれの違いを理解しておいてください。
融資審査で残高試算表が重視される理由
融資審査では、「今この会社はどのような状態なのか」が重要なポイントになります。仮に決算書が黒字であっても、直近で売上が落ちていたり、資金繰りが悪化していたりすれば、金融機関の融資判断は慎重になるでしょう。
そこで金融機関は、最新の業績や資金の動きを確認できる残高試算表を重視するわけです。残高試算表の内容が正確であればあるほど、金融機関は会社の実態を把握しやすくなり、結果として融資がスムーズに進みます。
金融機関が残高試算表でチェックする具体的なポイント
金融機関が残高試算表をチェックする際、どのようなポイントを確認するのでしょうか。代表的なものをいくつか見ていきましょう。
売上・利益の推移に不自然な点はないか
金融機関が確認する代表的なポイントが、売上や利益の推移です。前年同月と比較して大きな増減がないか、季節変動の説明がつくか、などをチェックします。仮に、急激な売上減少がある場合、その理由を説明できないと、融資にマイナスの影響を与える可能性があります。
勘定科目の残高は適切か
残高試算表では、以下のような点も細かく見られます。
- 売掛金が過度に膨らんでいないか
- 在庫が実態以上に計上されていないか
- 仮払金や未収入金が長期間放置されていないか
これらは、経理処理の正確性や管理体制を判断する材料になります。売上・利益の推移とあわせて事前にチェックしておきましょう。
また、上記に加えて「役員貸付金」の有無も重要なポイントです。融資審査において、役員貸付金は「融資したお金が社長に流れている」と判断される最大のマイナス要因となるため、この点も十分に注意が必要です。
役員貸付金に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
残高試算表の作成スピードと精度
残高試算表の具体的な項目だけでなく、作成スピードや精度も重要なポイントになります。例えば、数ヶ月前の残高試算表しか出てこなかったり、数字が毎回大きくズレたりしている場合、金融機関から数字管理が弱い会社だと認識されてしまいます。
逆に、毎月タイムリーかつ精度の高い残高試算表を提出できる会社は、それだけで金融機関からの信頼度が高まります。このように、残高試算表の作成スピードや精度は、融資審査に大きな影響を与えるため、常に迅速かつ正確な残高試算表を作成できるよう、社内の体制を整えておくことが大切です。
資金繰り表とは?
融資審査においては、残高試算表とあわせて資金繰り表も重要な書類の一つになります。次に、資金繰り表について詳しく見ていきましょう。
資金繰り表の概要
資金繰り表とは、一定期間における現金収支を管理するための表です。毎月の収入や支出、預金残高などを確認することで、将来的に資金不足になるリスクを事前に把握できます。
企業が使用する書類としては決算書や試算表などが一般的であり、通常は金融機関もこれらの内容をもとに融資の審査を行います。しかし、パンデミックなどの緊急時においては、資金繰り表をもとに審査を実施することも珍しくありません。
融資を行う側の目線から見れば、融資先の将来的な成長見込みよりも、現時点の資金繰り(経営状態)で資金の回収リスクを判断するためです。このように、資金繰り表は企業にとって重要な資料になることを覚えておいてください。
資金繰り表を作成するメリット
資金繰り表を作成することで、企業は様々なメリットを享受できます。代表的なメリットを順番に見ていきましょう。
- 資金の収支予測を立てられる
- 資金不足になる原因を明確化できる
- 資金調達時の参考書類として役立つ
資金繰り表は、自社の現金収支をわかりやすく可視化するための表です。そのため、資金繰り表を上手く活用することで、将来的な収支予測を立てることが可能になります。
また、資金繰り表は資金不足になる原因を明確化するためにも役立ちます。例えば、売掛金の未回収により貸倒損失となっているのであれば、回収するための具体的な方法を検討できます。
さらに、資金繰り表は資金調達時の参考書類としても役立ちます。パンデミックなどの非常時には現時点の経営状態を重視して融資審査が行われるため、資金繰り表を作成しておけばスムーズに手続きを進められます。
このように、資金繰り表は自社の経営状態を正しく可視化して将来的なリスクを回避したり、金融機関に提出するための参考書類として活用できたりなど、様々なシーンで役立つ資料となっています。
資金繰り表については以下の記事で詳しく解説しています。
残高試算表と資金繰り表の違い
ここまで、残高試算表と資金繰り表について解説してきました。どちらも融資審査において重要な書類ですが、両者には様々な違いがあります。
本章では、残高試算表と資金繰り表の違いを解説していますので、正しく内容を理解しておきましょう。
管理している「時間軸」の違い
残高試算表と資金繰り表の最も大きな違いは、管理している時間軸にあります。
残高試算表は、過去から現在までの取引実績を集計したものであり、月次や四半期といった一定期間における売上、経費、利益、資産、負債の残高を一覧で確認できます。つまり、残高試算表は「これまで会社がどのような経営成績を上げてきたのか」を把握するための資料と言えます。
一方、資金繰り表は、現在から将来に向けた資金の動きを予測するための資料です。売掛金の入金予定日や仕入、人件費、借入返済などの支払予定日をもとに、将来の現金残高をシミュレーションします。
このように、
- 残高試算表:過去〜現在の実績を管理
- 資金繰り表:現在〜将来の資金の動きを管理
という時間軸の違いが存在することを覚えておきましょう。
把握できる「数字の性質」の違い
次に注目すべき違いは、把握できる数字の性質です。
残高試算表では、発生主義にもとづいた会計処理が行われます。例えば、売上は「請求書を発行した時点」で計上され、実際の入金がまだ先であっても数字としては反映されます。
そのため、残高試算表を見ることで、
- 利益が出ているか
- 借入金や売掛金の残高はいくらか
- 経営成績に問題はないか
といった点を把握することができます。
一方で、資金繰り表は現金主義の考え方にもとづいて作成されます。実際にお金が「入る・出る」というタイミングに着目し、現金残高がいくらになるのかを確認します。
そのため、
- 利益は出ているが現金が足りない
- 入金より支払いが先行している
などの状況は残高試算表では見えにくく、資金繰り表で初めて明確になります。このように、残高試算表と資金繰り表は、把握できる数字の性質が異なることを覚えておきましょう。
融資審査での「役割」の違い
融資審査において、残高試算表と資金繰り表はそれぞれ異なる役割を担っています。
残高試算表は「この会社はこれまでどのような経営をしてきたのか」を確認するための資料であり、売上や利益の推移、経費のバランス、借入金の残高などから、会社の収益力や財務体質を判断します。また、試算表の精度や作成スピードから、経営管理体制そのものが評価されることもあります。
一方、資金繰り表は「この先、融資をしても問題なく返済できるか」を判断するための資料です。例えば、将来の返済原資が確保できているか、資金不足に陥るリスクはないかといった点を確認するために使用されます。
融資を行う金融機関は、
- 残高試算表で過去〜現在の実績を確認
- 資金繰り表で将来の返済可能性を確認
という形で、残高試算表と資金繰り表をセットで評価するため、いずれも重要な役割を持つ書類だということを忘れてはいけません。
まとめ
本記事では、金融機関が残高試算表で見ているポイントや残高試算表の概要、資金繰り表との違いなどを解説しました。
融資審査では、単に黒字か赤字かだけでなく、最新の経営状況や資金の流れ、数字の管理体制なども細かくチェックされます。その中でも、残高試算表や資金繰り表は融資結果を大きく左右する重要な要素となるため、日頃から正確な月次管理を行うことが、結果的に資金調達を有利に進めることにつながります。
ただし、残高試算表や資金繰り表の作成・改善を自社だけで行うのは、難しいケースも少なくありません。本当に融資に通るのか不安だと感じた場合は、税理士などの専門家に相談するのも有効な選択肢になります。
もし、融資や資金調達についてお悩みの方は、ぜひ大谷聡税理士事務所へご相談ください。これまで培ってきた豊富な知識・経験をもとにして、貴社に最適な方法をアドバイスさせていただきます。
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