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小規模企業でも社債が発行できる?少人数私募債の概要と縁故借入との違いを徹底解説!
中小企業の資金調達といえば、金融機関からの借入を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実務の現場では少人数私募債や縁故借入、社債といった、金融機関以外からの資金調達の手法が活用されるケースも少なくありません。
特に、経営者の親族や取引先、役員などから資金を集める方法は、柔軟な条件で資金調達ができる一方、税務・会計上の扱いを誤るとトラブルにつながる可能性もあります。本記事では、少人数私募債・縁故借入・社債の違いを整理し、それぞれの特徴や活用時の注意点について詳しく解説します。
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少人数私募債とは?
少人数私募債とは、発行先を 50 人未満に限定して発行する社債のことを指します。金融商品取引法上の「私募」に該当するため、有価証券届出書の提出が不要であり、中小企業でも比較的利用しやすい資金調達方法となっています。
少人数私募債の主な特徴は以下の通りです。
- 発行対象者が 50 人未満
- 親族・役員・取引先など、縁故者が中心
- 金融機関借入に比べて柔軟な条件設定が可能
少人数私募債は社債であるため、形式上は借入金ではなく、負債として社債勘定で処理されます。また、利息の支払いが発生するため、支払利息は損金算入が可能であることを覚えておきましょう。
ただし、利息を受け取る側(役員や親族)の所得税について、その役員が会社の支配株主等に該当する場合、利子所得が総合課税(他の所得と合算して累進税率を適用)の対象となるため、この点には注意が必要です。
縁故借入とは?
縁故借入とは、経営者の親族・知人・役員・取引先などから直接お金を借りることを指します。ただし、法律上の明確な定義がある言葉ではなく、実務上の呼称として使われています。
縁故借入の主な特徴は以下の通りです。
- 契約内容を当事者間で柔軟に決めやすい
- 金融機関の審査が不要
- 書面を作成しないまま行われるケースも多い
ただし、金銭消費貸借契約書を作成しない場合や、利息が不相当に低い場合には、贈与やみなし贈与と判断されるリスクもあります。そのため、縁故借入であっても、契約書の作成や利息設定は非常に重要なポイントになるため、この点は確実に覚えておきましょう。
みなし贈与に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
社債とは?
社債とは、企業が資金調達のために発行する有価証券の一種です。投資家から資金を集め、一定期間後に元本を返済し、その間は利息を支払います。
また、社債には「公募社債」と「私募社債(少人数私募債を含む)」の 2 種類が存在し、上場企業が発行するイメージが強いですが、中小企業でも私募の形で社債を発行することは可能です。
社債を発行することで資金提供者との関係性を明確にし、会計・税務上の整理がしやすくなる点が大きなメリットだと言えます。
少人数私募債・縁故借入・社債の違い
少人数私募債と縁故借入、社債はいずれも似ている言葉ですが、実際には異なる点が多く存在します。次は、それぞれの違いや活用シーンについて見ていきましょう。
資金調達方法としての違い
縁故借入は「個別の貸し借り」であるのに対し、少人数私募債は「社債の発行」という形を取ります。少人数私募債は制度として整理されているため、調達金額や条件を一定のルールで管理しやすい点が大きな特徴となっています。
税務・会計上の取扱いの違い
縁故借入は「借入金」として処理されるのが一般的ですが、契約内容が曖昧な場合は税務調査で否認されるリスクがあります。一方、少人数私募債は社債として処理され、利息も明確に設定されるため、税務上の説明がしやすいというメリットがあります。
活用シーンの違い
少人数私募債と縁故借入、社債はいずれも資金調達を行うための手段ですが、どのようなシーンで活用すべきかは大きく異なります。
以下、それぞれの代表的な活用シーンです。
- 一時的な資金不足:縁故借入
- 中長期の安定資金:少人数私募債
- 対外的な信用力向上:社債発行
このように、会社の状況に応じて選択すべき方法は変わるため、それぞれの違いを正しく理解し、自社にとって最適なものを選択することが大切です。
少人数私募債を活用する際の注意点
少人数私募債は中小企業にとって柔軟かつ有効な資金調達手段ですが、制度の理解が不十分なまま利用すると、思わぬ税務リスクや法的トラブルにつながる可能性があります。最後に、少人数私募債を活用する際の注意点について、実務上特に注意すべきポイントを整理してご説明します。
発行人数は「50 人未満」を厳格に管理する
少人数私募債は、その名の通り「発行先が 50 人未満」であることが前提となります。この人数要件を超えてしまうと、私募ではなく公募と判断され、金融商品取引法上の厳しい規制を受ける可能性があります。
ここで注意すべきポイントは、「同時に 50 人未満であればよい」というわけではない点です。過去の発行状況や勧誘の実態を踏まえて、実質的に多数の者に募集していないかどうかが判断されるため、親族や取引先に限定している場合でも発行先の管理は慎重に行う必要があります。
利率・償還条件は合理的に設定する
少人数私募債で設定する利率や償還期間は、第三者間取引を意識した合理的な水準であることが求められます。利率が高すぎる場合には、税務上「過大支払利息」として損金算入が否認されるリスクがあります。
一方で、利息を支払わない、または極端に低い利率で発行した場合には、実態として「出資」や「贈与」に近い取引と判断される可能性もあります。そのため、少人数私募債であっても、あくまで「借入」に準じた性質を持つことを意識し、条件を設定する必要があります。
契約書・募集要項などの書面を必ず整備する
少人数私募債を発行する際には、社債発行に関する契約書や募集要項を作成し、書面で条件を明確にしておくことが大切です。書類が不十分な場合、税務調査において「実態は縁故借入ではないか」と指摘されるケースがあります。
特に、利率や償還期限、返済方法といった重要事項については、誰が見てもわかる形で記載しておきましょう。書面の整備は、会社側だけでなく、資金提供者とのトラブル防止にもつながります。
返済実績を作り「形式だけの社債」にしない
少人数私募債は、発行しただけで終わりではありません。実際に利息の支払いを行い、償還期限に従って元本を返済していくことが大切です。
返済が長期間行われていない場合や、返済期限が曖昧なまま放置されている場合には、税務署から「実質的には返済意思のない取引」と判断される可能性があります。その結果、社債ではなく、出資や贈与とみなされるリスクが生じるため、この点は十分に注意しておきましょう。
親族・役員が引受人の場合は特に注意する
少人数私募債は、親族や役員を引受人とするケースが多いため、税務上は特に慎重にチェックされます。特に、条件が有利すぎる場合や、返済が行われていない場合には、「身内間取引による利益供与」と判断される可能性があるため、親族・役員が関与する場合は第三者間取引と同様の条件・手続きを意識し、客観的に説明できる状態を整えておくことが重要です。
今回は、少人数私募債について詳しく解説しましたが、企業の資金調達方法は以下の記事でもご紹介しています。
まとめ
本記事では、少人数私募債・縁故借入・社債のそれぞれの違いや特徴、活用時の注意点などを解説しました。
少人数私募債は、縁故借入よりも制度的に整理された資金調達方法であり、税務・会計面でもメリットがあります。一方で、正しい手続きを踏まなければ、思わぬ税務リスクを招く可能性があるため、この点には注意しておきましょう。
資金調達は会社の将来を左右する重要な要素であり、仮に判断を誤った場合、取り返しの付かない事態に陥るリスクがあります。そのため、判断に迷う場合は、税務・会計の専門家に相談することで、安全な資金調達が可能になります。
少人数私募債や社債、縁故借入についてお悩みの方は、ぜひ大谷聡税理士事務所へご相談ください。これまで培ってきた豊富な知識・経験をもとにして、貴社に最適な方法をアドバイスさせていただきます。
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