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へそくりに相続税がかかる?課税対象になる場合とならない場合を徹底解説!

相続財産には相続税が課せられるため、財産の金額に応じて税金を支払う必要があります。そして、へそくりには相続税がかからないと考えている方が多いですが、実はへそくりに対して相続税が発生するケースも存在します。
本記事では、相続財産や相続税の基本をご説明しつつ、へそくりが課税対象になる場合とならない場合についてわかりやすく解説します。相続税について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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相続財産とは?
まずは、相続財産について正しく理解しておきましょう。
相続財産とは、被相続人から相続人へ受け継がれる財産のことです。一般的には「遺産」という言葉が使われることが多いですが、これは相続財産と同義だと考えてください。
相続財産の種類を大きく分けると、
・物権
・債権(債務)
・契約上の地位
の 3 つに分類できます。
相続で受け継ぐものは土地や現金などの財産を思い浮かべる方が多いと思いますが、被相続人が生前に借金や負債、損害賠償責任などを抱えていた場合、それらの負の遺産も相続で受け継ぐ対象になります。
なお、土地や現金などのプラスの遺産を「積極財産」、借金や負債などのマイナスの遺産を「消極財産」と呼ぶこともあるため、この点は覚えておくと良いでしょう。
また、被相続人が物を買った場合の「買主としての地位」や、物を売った場合の「売主としての地位」など、被相続人が生前に有していた契約上の地位も相続財産として認められています。
相続財産について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
相続税とは?
次に、相続税の基礎知識をご説明します。
相続税とは、相続を受けた人(相続人)が納めるべき税金のことであり、遺産を相続した全員に相続税の納税義務が発生します。相続税の金額は遺産総額によって変動しますが、「基礎控除」も相続税の納税額に影響を与えます。
基礎控除とは、相続税の課税有無や課税額を決めるための仕組みです。 相続財産が基礎控除額を上回っている場合は納税の義務が発生しますが、相続財産が基礎控除額を下回っている場合は相続税を納める必要はありません。
そして、基礎控除額は以下の計算式で求められます。
基礎控除額 = 3,000 万円 + ( 600 万円 × 法定相続人の数)
例えば、夫婦と子供 2 人が一緒に暮らしている家庭で父親が亡くなった場合、法定相続人は妻と子供 2 人の「計 3 人」であるため、基礎控除額は 4,800 万円となります。
つまり、相続財産が 4,800 万円以下であれば相続税を納める必要はなく、相続財産が 4,800 万円を超えている場合は、その超過分に対して相続税が発生します。
相続税の計算方法は以下の記事が参考になります。
へそくりは相続税の課税対象になる?
相続財産と相続税の基本を理解したところで、本題のへそくりに話を戻します。
へそくりが相続税の課税対象になるか否かを判断する際は「へそくりとして貯めたお金は元々誰のお金なのか?」という点が重要なポイントになります。
具体的なケースとして、妻が夫に内緒でへそくりを貯めている場合を考えてみます。へそくりを貯めている状態で夫が他界した場合、へそくりは相続税の課税対象になるのでしょうか?
以下、パターンごとに分けて記載します。
へそくりの出所が妻のお金の場合
へそくりの出所が妻のお金であれば、相続税の課税対象にはなりません。例えば、妻が働いており、自分の給料の一部を積み立てて、へそくりに充てている場合などが該当します。
このケースでは、へそくりは元々妻のお金から捻出されているため、夫が他界した際の相続財産には含まれないことになります。そのため、当然ながら相続税を支払う必要はありません。
へそくりの出所が夫のお金の場合
へそくりの出所が夫のお金の場合、相続税の課税対象になります。例えば、専業主婦である妻が夫の給料の一部を密かにへそくりとして貯めている場合などが該当します。
このケースでは、へそくりは元々夫のお金であるため、相続財産の一部として判断されることが一般的です。そのため、へそくりに対して相続税が発生し、税金を支払わなければならない可能性があります。
このように、へそくりが相続税の課税対象になるのか?を判断する際は「へそくりが元々誰のお金なのか?」を考えてください。仮に、夫のお金からへそくりを捻出している場合は相続税の課税対象になるため、この点には十分に注意しておきましょう。
へそくりを貯める際は名義預金に注意
名義預金とは、被相続人(亡くなった人)が他人の名義で登録している預金のことです。
一般的には親族へ財産を残す目的で使われることが多く、父親が妻や子供の名義で預金を残しておくケースなどが該当します。そして、へそくりを貯める際には、この名義預金に注意する必要があります。
なぜなら、へそくりが名義預金だとみなされた場合、その預金は名義人の財産ではなく、資金提供者の財産と判断されてしまい、相続税の課税対象になるリスクがあるためです。
また、へそくりが税務署から隠れた贈与として扱われた結果、高額な贈与税が課される可能性もあります。つまり、名義預金を放置しておくと、税金が増えるだけでなく法的トラブルを招くことがある点を覚えておきましょう。
名義預金として判断されてしまう代表的なケースとしては、
- ・名義人である妻や子どもがその預金を自由に使えない
- ・預金通帳やキャッシュカードを名義人ではなく、資金提供者が管理している
- ・預金の資金源が資金提供者の収入だと判断できる
などが挙げられます。
そのため、へそくりを貯める際には、これらのポイントを意識しながら、名義預金と判断されないように注意しましょう。
名義預金については以下の記事で詳しく解説しています。
へそくりが名義預金だとみなされないためのポイント
前述した通り、へそくりを貯める際には名義預金に注意する必要があります。本章では、へそくりが名義預金だとみなされないためのポイントを 3 つご紹介します。
自分の名義で口座を管理する
へそくりが名義預金だとみなされないための最も確実な方法は、へそくりを自分名義の口座で管理することです。例えば、配偶者や子ども名義の口座にへそくりを貯めた場合、税務署から名義預金だと判断される可能性が高くなります。
これは、名義が自分以外の場合、そのお金が本当に名義人のものなのかどうかが問われてしまうためです。一方、自分の名義であれば資金の所有権が明確なので、税務上のリスクを避けることができます。
資金の出どころを明確にする
へそくりの元手となるお金が、自分の収入であることを証明できるようにしておくことも重要なポイントになります。例えば、給与の一部を定期的に積み立てる形で貯めたり、へそくり用口座への入金履歴を記録したりするなど、後から証明するための工夫を行いましょう。
一方、配偶者の収入や家計費から流用した場合は、トラブルの原因となることがあります。特に、家族間の資金移動は税務署のチェック対象となりやすいため、慎重に管理することが求められます。
名義人が自由に使える状況を整える
へそくりを配偶者や子どもの名義で管理する場合、その名義人がそのお金を自由に使える状態にしておくことが大切です。例えば、妻名義の口座で管理する場合は、通帳やキャッシュカードを妻が管理し、妻が必要に応じてそのお金を引き出して使える状況にしておきましょう。
これは、名義人が「ただ名義を貸しているだけ」と判断されると、へそくりが名義預金だとみなされてしまい、贈与税や相続税の問題が発生する可能性があるためです。他人に知られないように内緒で貯める、というへそくりの本質からはズレてしまいますが、不要な税金を回避するための手段として覚えておいてください。
へそくりを活用して相続税を節税する方法
意外と思われるかもしれませんが、へそくりは贈与と組み合わせることで、相続税の節税に繋がります。本章では、へそくりを活用して相続税を節税するための方法について、贈与の基礎知識を交えながら解説します。
贈与の基礎知識
まずは、贈与の基本について理解しておきましょう。
贈与とは「自身の財産を無償または負担付きで第三者に譲ること」を意味する言葉です。一般的には、贈与を行う人が財産を譲る旨の意思表示を行い、その内容について相手が承諾することで正式に贈与が成立します。
そのため、自分の財産を誰かに贈与したいと考えている場合でも、相手の同意なしで贈与を行うことはできません。事前に贈与の内容を説明し、相手の同意を取得する必要があります。
また、贈与を行う際には「贈与税」と呼ばれる税金が発生しますが、贈与税には「暦年課税」という考え方があり、相続税と同様に基礎控除が設けられています。贈与税の基礎控除による非課税枠は「年間 110 万円」であるため、贈与を受けた金額が年間 110 万円までであれば、贈与税を支払う必要はありません。
ただし、基礎控除は「贈与を受ける人」に対して設けられている非課税枠であるため、仮に複数人から贈与を受けたとしても、その合計額が年間 110 万円を超えた場合は贈与税の課税対象となります。
以下、一般贈与財産における贈与税の税率です。
このように、贈与税は贈与された金額が大きくなるほど、その税率は高くなります。また、特例贈与財産(直系尊属から 18 歳以上の人へ贈与する財産)の場合、一般贈与財産と比較して税率が低く設定されています。
贈与税の計算方法については以下の記事で詳しく解説しています。
へそくりと贈与を活用した相続税の節税
贈与税には年間 110 万円の非課税枠が設けられているため、この非課税枠とへそくりを組み合わせることで、相続税を節税することが可能です。
そして、へそくりを使った節税対策で最も効果的なのは生前贈与です。なお、生前贈与とは「自分以外の個人(妻や子供など)に対して、生前に自身の財産を無償でわたすこと」を意味する言葉です。
つまり、へそくりとして年間 110 万円を超えない額を妻や子どもに生前贈与することで、相続税の対象となる財産を減らすことができるわけです。その結果、相続財産の金額を抑えられるため、結果として相続税の節税に繋がります。
生前贈与を活用した節税については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
本記事では、相続財産や相続税の基本をご説明しつつ、へそくりが課税対象になる場合とならない場合についてわかりやすく解説しました。
へそくりが相続税の課税対象になるか否かを判断する際は「へそくりとして貯めたお金は元々誰のお金なのか?」という点が重要なポイントになります。
仮に、妻が夫の給料から密かにへそくりを貯めており、その状態で夫が他界した場合はへそくりが相続財産として見なされるため、へそくりに対して相続税が発生する可能性があります。
このように、へそくりは相続税の課税対象になり得るため、十分に注意しておきましょう。何も考えずにへそくりを貯めていると、万が一の場合に相続税の支払いを要求されるため、事前に備えておくことをオススメします。
もし、自分だけの判断で不安な場合は、専門家への相談も有効な選択肢の一つになります。プロの目線から助言を受けることができ、困った時に相談を行うことも可能です。
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