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役員借入金とは?自己資本や融資への影響、活用時の注意点などを徹底解説!

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中小企業やスタートアップ企業において、役員借入金という言葉を耳にすることがあります。この役員借入金は、企業の資金調達方法の一つとして非常に重要な役割を果たしていますが、企業の自己資本や金融機関の融資にどのような影響を与えるのか、明確に理解している方は少ないのではないでしょうか。

 

本記事では、役員借入金の基礎知識に加えて、自己資本や融資への影響、活用時の注意点などを一挙に解説します。役員借入金の概要を知りたい方、これから融資を検討している方にとっては参考になる内容だと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

また、公式ラインをご登録いただいた方に無料相談をプレゼントしております。記事をご参考いただき不明点がありましたら、ぜひご相談ください。

 

 

 

役員借入金とは?

 

まずは、役員借入金の基礎知識について理解しておきましょう。

 

役員借入金とは、会社の役員(取締役など)が自らの資金を会社に貸し付ける形で提供する資金のことを指します。例えば、会社が一時的に資金不足に陥った際、役員が自己資金で補填するケースなどが該当します。

 

役員借入金の特徴としては、返済義務がある点が挙げられます。役員借入金はその名前の通り、会社が借入しているお金であるため、最終的には会社が役員に対して返済することが法律で義務付けられています。

 

また、会計上の役員借入金は負債に分類されるため、自己資本比率に影響を与える可能性があります。加えて、役員借入金には利息が設定されることが一般的ですが、税務上の適正利率を下回ると問題になることがあるので、この点も覚えておくとよいでしょう。

 

 

役員借入金と役員貸付金の違い

 

役員借入金と混同しやすい言葉として、役員貸付金が挙げられます。

 

役員貸付金とは、会社が役員に対して貸し付けた金銭のことを指します。これは、会計上「貸付金」として計上され、会社が役員に資金を提供した状態を表しています。

 

例えば、役員が個人的な事情で資金を必要とした際に、会社が貸付を行うケースなどが役員貸付金に該当します。その他にも、会計処理上の都合や役員の給与の調整として、形式上の貸付金が発生することもあり、このような場合も役員貸付金の一種として扱われます。

 

そして、役員貸付金は金融機関からの信用低下や法人税の負担増加など、企業にとって様々な悪影響を及ぼします。さらに、株式会社の場合は株主から疑念を持たれるリスクもあるため、役員貸付金は極力避けるべきものだと言えます。

 

このように、役員借入金と役員貸付金は対義語的に使われる言葉であり、

 

  • ・役員借入金:役員が会社に貸すお金
  • ・役員貸付金:会社が役員に貸すお金

 

という形で整理できます。

 

両者は似ている言葉ですが、実際にはまったく異なるものとして区別されているため、それぞれの違いを正しく理解しておくことが大切です。

 

役員貸付金に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

 

自己資本と役員借入金の関係性

 

次に、自己資本と役員借入金の関係性について解説します。両者がどのように関係しているのか、具体的な内容を理解しておきましょう。

 

 

自己資本とは?

 

自己資本とは、株主からの出資金や企業が事業活動で得た利益をもとに形成される企業の純粋な資本のことを指します。これは、他者から借り入れた資金ではないため、企業の財務的な安定性を示す指標として重視されることが一般的です。

 

 

役員借入金が自己資本に与える影響

 

会計上の役員借入金は、負債として処理されます。そのため、自己資本比率の観点で言えば、役員借入金はマイナスの影響を与えてしまい、企業の自己資本比率を低下させる要因となります。

 

そして、自己資本比率が低下した場合、一般的には以下のような影響が考えられます。

 

  • ・財務健全性の低下
  • ・融資審査への影響

 

金融機関や投資家から役員借入金を見た場合、その会社は財務の安定性が低いと判断される可能性があります。その結果、金融機関の融資審査において、役員借入金が不利に働いてしまうことも珍しくありません。

 

そのため、役員借入金を利用する際は、返済計画や資本構成の見直しを適切に行うなど、入念な事前準備が求められます。

 

 

役員借入金が融資に与える影響

 

役員借入金は金融機関の融資にどのような影響を与えるのでしょうか?本章では、役員借入金が融資に与える影響を 3 つに分けてご説明します。

 

なお、融資に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

 

資金調達には融資がオススメ

 

 

自己資本比率の低下による信用力の影響

 

前述した通り、役員借入金は会計上の負債として処理されることから、自己資本比率の低下に直結します。そして、自己資本比率は財務の健全性や安定性を示す指標であり、金融機関の融資審査でも重要視される要素の一つです。

 

自己資本比率が低い企業は、

 

  • ・経営基盤が脆弱
  • ・外部資金への依存度が高い

 

など、マイナスの印象を与えてしまう可能性があり、これが融資の減額や条件悪化に繋がることもあります。一方、役員借入金が自己資本と同様に評価され、信用力にプラスの影響を与えるケースも存在します。

 

このように、役員借入金は融資に対してプラス影響を与えることもあれば、マイナス影響を与えることもあります。役員借入金を一概に「良い」「悪い」と評価するのは難しいため、この点は覚えておきましょう。

 

 

役員借入金の返済条件がキャッシュフローに与える影響

 

金融機関は、企業が安定してキャッシュフローを生み出し、役員借入金を含む負債全体を返済できる能力があるか否かを厳しく審査します。そして、仮に役員借入金の返済条件が厳しすぎる場合、企業の資金繰りに悪影響を与えてしまい、融資審査においてリスク要因と見なされる可能性があります。

 

そのため、役員借入金を利用する際には、返済条件やキャッシュフローなどを事前に確認しておくことが重要なポイントになります。ただし、役員借入金は返済期限や利息条件が柔軟に設定されることが一般的であり、この点が経営者による柔軟な資金管理能力としてプラスに評価されることも珍しくありません。

 

 

役員借入金の使途と経営姿勢への評価

 

金融機関は、役員借入金がどのような目的で利用されているのかという観点でも審査を行います。例えば、事業拡大や新規プロジェクトへの投資など、前向きな目的で使用されている場合は、経営者の成長志向や企業の発展性が評価されることがあります。

 

一方、赤字補填や経営危機の穴埋めとして役員借入金が恒常的に利用されている場合、金融機関に対してマイナスの影響を与えてしまうでしょう。ただし、役員自身が個人的な資金を投入している事実は、経営者としての責任感やコミットメントの証拠と捉えられることもあり、融資審査において好意的な材料にもなり得る点は覚えておきましょう。

 

このように、役員借入金はその使い方次第で融資審査にプラスにもマイナスにも働きます。自己資本比率やキャッシュフローへの影響を最小限に抑えながら、役員借入金の使途や経営姿勢を前向きに示すことで、金融機関との良好な関係を築くことができます。

 

詳しくは後述しますが、企業経営における資金調達の選択肢として役員借入金を活用する際には、これらの点を意識した戦略的な運用が求められると言えるでしょう。

 

 

役員借入金を活用する際の注意点

 

役員借入金を使う場合、意識すべきポイントがいくつか存在します。本章では、役員借入金を活用する際の注意点について解説します。

 

 

税務リスクを把握する

 

役員借入金を活用する際、注意すべきポイントの一つが税務上の取り扱いです。役員借入金に利息を設定しない、あるいは設定した利息が税務上の適正利率を大きく下回ると、税務署から「役員による寄付金」として扱われる可能性があります。

 

この場合、企業の経費として認められず、追加課税の対象となってしまいます。また、逆に高すぎる利息を設定すると、役員報酬とみなされて課税対象となる場合もあるため、利率は時間をかけて慎重に決めることが大切です。

 

さらに、役員借入金を返済せずに長期間放置していると、税務上「実質的な出資」と見なされることもあります。こうしたリスクを避けるためには、専門家の助言を受けながら、税務上適正な条件で契約を結ぶことが重要なポイントになります。

 

 

返済計画を明確に立てる

 

役員借入金は、柔軟な条件で借り入れることができる一方で、返済計画を疎かにしてしまうと、財務上の負担や信頼性の低下に繋がります。特に金融機関の融資を受けている場合、役員借入金の返済がキャッシュフローを圧迫し、融資返済能力に影響を与える可能性も考えられます。

 

そして、役員借入金の返済条件が曖昧だと、金融機関から「財務管理が不十分」と判断されてしまい、結果として融資条件が厳しくなることも珍しくありません。そのため、役員借入金を活用する際には、現実的な返済スケジュールを設定し、企業の収益やキャッシュフローとの整合性を取ることが大切です。

 

加えて、返済の記録を明確に残し、金融機関や税務署に対して透明性を示すことも重要なポイントだと言えるでしょう。

 

 

資本性の見直しで財務の健全性を確保する

 

役員借入金は自己資本比率の低下を招く要因となり、金融機関や投資家からの信用力にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。そのため、場合によっては役員借入金の一部を「資本金」や「資本準備金」に振り替えて、負債を減少させることも有効な選択肢の一つです。

 

ただし、資本性の変更には、法務局への手続きや税務上の影響が伴うため、専門家と相談しながら慎重に進める必要があります。さらに、役員借入金を長期的に保持する場合でも、事業計画や資金使途を明確に示すことで、金融機関やステークホルダーからの信頼を高めることができるため、この点は確実に覚えておきましょう。

 

 

役員借入金を戦略的に活用する方法

 

役員借入金はマイナスの側面だけではなく、うまく使えば会社にとって良い影響を与えることも可能です。最後に、役員借入金を戦略的に活用する方法を 3 つに分けてご紹介します。

 

 

資本調達と税務面のバランスを考慮する

 

役員借入金を戦略的に活用するためには、資本調達と税務面でのバランスを考慮することが大切です。役員借入金は、企業の財務状況に応じて柔軟に利用できる資金調達手段の一つですが、税務上は負債として扱われます。

 

そのため、自己資本比率が低下するリスクを理解しつつ、適切な利率や返済計画を設定することが求められます。例えば、低金利で借り入れを行うことで、会社のキャッシュフローを守りながらも、税務上の問題を回避することが可能になります。

 

 

キャッシュフローを意識した柔軟な返済計画を立てる

 

役員借入金の活用では、返済計画を柔軟に設計することが鍵となります。そして、企業が安定したキャッシュフローを確保するためには、無理のない返済スケジュールを設定し、事業収益とのバランスを取ることが大切です。

 

また、役員借入金は金融機関からの借入れと比較して、返済条件を調整しやすい点が特徴の一つであるため、会社の状況に応じた運用を行うことができる点が大きなメリットです。例えば、事業収益が安定するまで返済を猶予したり、分割返済にしたりするなど、現状に合わせて適切な返済計画を立てましょう。

 

このように、自社にとって無理のない柔軟な返済計画を立て、滞りなく返済を進めている実績を金融機関にアピールすることで、企業の財務管理能力が評価され、将来的な融資交渉を有利に進められるようになります。

 

 

使途を明確化して企業の成長戦略に結びつける

 

役員借入金を戦略的に活用する際には、その使途を明確にし、企業の成長戦略に結びつけることが求められます。例えば、新規事業の立ち上げや設備投資など、将来的な収益拡大が期待される用途に役員借入金を充当することで、事業の成長性をアピールできます。

 

一方で、赤字補填や恒常的な運転資金として役員借入金を繰り返し利用することは、財務基盤の不安定さを示す要因となり得ます。そのため、役員借入金の利用目的を金融機関やステークホルダーに説明できるよう、具体的な計画や予測データを準備しておくことが重要なポイントになります。

 

 

まとめ

 

本記事では、役員借入金の基礎知識に加えて、自己資本や融資への影響、活用時の注意点などを一挙に解説しました。

 

役員借入金は融資に対してマイナスに働くこともありますが、うまく使えば有効な資金調達手段の一つになります。この記事を読み直して、役員借入金を活用する際の注意点や戦略的に活用するための方法などを理解しておきましょう。

 

もし、自分ひとりで判断できない場合は、専門家への相談も有効な選択肢の一つになります。プロの目線から助言を受けることができ、スムーズに手続きを進められることはもちろん、困った時に相談を行うことも可能です。

 

そして、資金調達に関してお悩みであれば、ぜひ大谷聡税理士事務所へご相談ください。代表の大谷は 30 年以上銀行員として勤めていた経験があり、中小企業診断士の資格も保有しているため、企業様の融資や資金繰り改善に関して強みを持っています。

 

これまで培ってきた豊富な知識・経験をもとにして、貴社に最適な方法をアドバイスさせていただきます。無料相談もお受けしていますので、まずは以下のフォームからお気軽にご連絡ください。

 

この記事が、あなたのお悩み解決に少しでもお役に立てば、と切に願っております。

 

 

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この記事を書いた人

大谷 聡

埼玉県川口市に拠点を構える大谷聡税理士事務所の代表。元大手銀行出身の税理士であり、中小企業診断士、社会保険労務士・行政書士・不動産鑑定士・宅建士、証券アナリストなど多数の資格を保持。 融資相談から相続相談まで、税務のことだけでなく、経営者の真のパートナーとして、総合的なサポートをすることがモットー。

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