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現預金が融資に与える影響とは?金融機関が重視するポイントをあらゆる観点から一挙に解説!

現預金は、融資審査において金融機関が特に重視する要素の一つであり、企業の資金繰り能力や経営の安定性を示す明確な指標となります。そして、預貯金を適切に管理できている場合、融資が承認される可能性が高まることはもちろん、より有利な条件で資金調達ができるようになります。
本記事では、金融機関が現預金をどのように評価するのか、その影響と具体的なチェックポイントなどをわかりやすく解説します。これから融資を受けようと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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融資とは?
まずは、融資の基礎知識について理解しておきましょう。
融資とは、返済することを前提として金融機関から資金を借り入れすることで資金調達を行う方法です。企業の資金調達と言えば、真っ先に融資を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
企業が融資を受ける相手は、銀行や信用金庫などの金融機関であることが一般的です。そして、融資前に定めた利息・返済方法をもとにして、金融機関へ借り入れ金を返済します。
なお、融資には「担保を取って融資を受ける場合」と「無担保で融資を受ける場合」の 2 パターンが存在します。担保とは、借入金を返済できなくなった際に差し出す保障品のことであり、土地や建物などの不動産を担保として設定するケースが一般的です。
担保が必要か否か?については、その会社の信用情報をもとにして決定されます。例えば、何十年も存続している大企業は信用が高いため、無担保で融資を受けられることが多いですが、起業後すぐの会社は担保を求められる傾向にあります。
ただし、金融機関によっては起業後まもない中小企業でも無担保で融資を受けられる場合があります。そのため、複数の金融機関を比較検討して、自社に最適な融資元を探すことが重要なポイントになります。
融資に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
現預金が融資に与える影響
現預金は、企業の資金繰り能力や経営の健全性を測る重要な指標として、金融機関の融資審査に大きな影響を与えます。特に、安定した現預金残高は、突発的な支出への対応力や返済能力を示し、信用度を高める要因となります。
また、金融機関は現預金の額だけではなく、入出金の流れやバランスの持続性なども重要視します。例えば、現預金が常に減少傾向にある場合は、経営状態の悪化や資金不足のリスクが疑われる可能性があります。
一方で、現預金が過剰に積み上がっている場合は、資金の有効活用ができていないと見なされるケースも存在します。このように、現預金管理は金融機関の融資に大きな影響を与えることを覚えておきましょう。
融資審査における主な確認項目
金融機関の融資審査では、現預金以外にも様々な項目がチェックされます。本章では、融資審査における主な確認項目を 4 つに分けて解説します。
現預金
前述した通り、現預金は金融機関が重視する確認項目の一つです。現預金の残高やその推移は、企業の短期的な支払い能力を示す重要な指標となります。
例えば、企業の返済能力を判断するために、金融機関は過去数ヶ月の現預金の流れや安定性などを厳しくチェックします。そして、現預金が安定している企業は、突発的な支出にも柔軟に対応できると判断されるため、融資審査においてプラスに働くことが一般的です。
売上
売上は、事業の成長性や収益力を示す指標として重要視されます。また、金融機関は単に売上が高いかどうかだけではなく、その成長率や継続性にも注目しています。
具体的なポイントとしては、
- ・売上が一時的な要因に依存していないか
- ・季節変動や特定顧客への依存度が高すぎないか
などが挙げられます。
そして、安定した売上を維持している企業は、将来的な返済能力が高いと判断されることが多く、結果的に融資審査に好影響を与えます。
利益
売上がいくら高いとしても、利益が確保されていなければ金融機関からの評価は下がります。なぜなら、利益は売上から経費やコストを差し引いた後の収益を示すため、企業の収益性や効率性を測るうえで重要な指標となるためです。
また、営業利益や経常利益の安定は、融資返済に必要となる内部資金を持っていることを意味します。特に利益率が高い企業は、コスト管理の能力が優れていると判断され、融資審査において高評価を得やすいと言えます。
減価償却
減価償却とは、企業が持つ資産の価値が時間とともに減少することを会計上で表したものです。金融機関は、この減価償却費を現金流出が伴わない経費として評価し、実質的なキャッシュフローを把握するために活用します。
例えば、営業利益が少なく見えても、減価償却費を加えることで返済能力を補完的に評価できる場合があります。特に資産が多い企業では、減価償却が返済能力に与える影響が大きいため、この項目が審査に与える影響も大きくなります。
融資審査で金融機関が重視するポイント(現預金編)
ここまで、融資審査における主な確認項目をご紹介しました。本章からは、それぞれの項目について、金融機関が重視するポイントを具体的に解説します。
まずは、現預金について見ていきましょう。
現金勘定の金額
金融機関が融資審査で重視する要素の一つが現金勘定の金額です。これは、企業の「即時に使える資金」の総額を示すものであり、短期的な支払い能力を判断するための指標となります。
例えば、
- ・給与
- ・仕入れ
- ・税金の支払い
など、日々の運転資金を十分に賄えるだけの現金を確保しているかどうかが評価のポイントになります。
現金勘定が少なすぎる場合、支払い遅延や資金不足リスクなどが懸念されるため、審査の際にはマイナス評価に繋がることもあります。一方で、適切な現金水準を維持している企業は融資返済への安心感を与え、金融機関からの信頼を得やすいでしょう。
現預金の推移状況
現金勘定の金額に加えて、現預金の推移状況も重要なポイントだと言えます。金融機関は単月の現金残高だけでなく、過去の入出金の流れや変動パターンなどをチェックし、資金繰りが安定しているかどうかを確認します。
例えば、現預金が一定範囲で安定して推移している場合は、収支のバランスが取れていると判断され、高評価に繋がります。一方で、現預金が急激に減少していたり、大きな変動が頻繁に起きたりしている場合は、資金計画の甘さや経営リスクなどが懸念されます。
このように、現預金の推移は企業経営の健全性や信頼性を示す重要なデータとして、金融機関に強い印象を与える要素であることを覚えておきましょう。
融資審査で金融機関が重視するポイント(売上編)
金融機関が融資審査を行う際、企業の売上状況は重要な判断材料となります。どのような点が重点的にチェックされるのか、具体的な内容についてご説明します。
売上の向上
売上が順調に伸びている企業は、金融機関から好意的に受け止められる傾向があります。なぜなら、売上の増加は市場で競争力を持ち、安定した成長基盤を築いていることの証になるためです。
また、企業成長の要因が市場の一時的なトレンドではなく、企業独自の戦略や強みに基づいている場合は、さらに信頼性が高まります。このように、売上向上は融資審査におけるプラス材料の一つになると言えるでしょう。
売上のバラつき
売上の変動が大きい企業は、金融機関の審査において注意深く評価されます。例えば、売上が安定していれば企業の信用度は高くなりますが、月ごとや年度ごとに大きなバラつきがある場合は、リスク要因として捉えられることもあります。
しかし、業種によっては特定の時期に売上が集中することもあり、その場合は季節性や特異性などが考慮されることが一般的です。例えば、観光業や季節商品の販売業は売上の変動が大きくても、それが通常の事業サイクルであれば問題視されにくい、といったケースが該当します。
また、売上のバラつきがある場合でも、それを補うための資金繰りの仕組みや在庫管理、コスト削減などのリスク管理策がしっかりしている企業は、むしろその対応力が評価されることがあるため、この点も覚えておくとよいでしょう。
売上の低下
売上が低下している企業に対しては、金融機関はより慎重な姿勢を取ります。しかし、売上低下が一時的なものであり、その原因を正確に把握し、明確な改善計画を示している場合には、信頼を得ることも可能になります。
例えば、競争が激化してシェアが減少している状況において、新市場への参入や製品改良を計画しているなど、具体的な対策を提示している企業は前向きに評価されるでしょう。また、売上が低下している中でも、固定費や運転資金を十分にカバーできる資金繰りを維持している場合は、経営の安定性が認められます。
このように、売上低下という厳しい状況においても、受動的ではなく積極的に対応している姿勢を示すことが融資審査に好影響を与えます。
融資審査で金融機関が重視するポイント(利益編)
金融機関が融資審査を行う際、利益に関する指標は売上と並んで重要な判断材料となります。具体的なポイントについて、詳しく見ていきましょう。
営業利益のマイナス
営業利益がマイナスの場合、金融機関は特に慎重な目で企業を評価します。営業利益は本業の「稼ぐ力」を示す指標であるため、この数値がマイナスであることは、日常的な事業活動から十分な利益を得られていないことを意味します。
たとえ売上が好調であっても、コストがかさみすぎて利益が出ていない状況では、融資のリスクが高いと判断されるため、この点には注意が必要です。しかし、利益がマイナスになっている原因が一時的なものであり、改善の見込みが具体的に示されている場合(例:新規事業への投資や設備投資など)には、金融機関の評価が大きく変わるケースも存在します。
一過性損益の計上
一過性損益とは、特定の事象に起因する一時的な収益や費用のことを指しており、一過性損益が計上されると、決算書上の利益が通常とは異なる形で大きく変動する場合があります。そして、金融機関はこうした一過性損益の影響を慎重に見極め、企業の実質的な収益力を評価しています。
例えば、不動産や有価証券の売却益などによる一時的な利益が計上されている場合、その利益が本業によるものではないと判断されることが一般的です。このような収益は持続的なものではないため、将来的な収益力を判断する際の大きなプラス要素にはなりません。
このように、金融機関は一過性損益が計上された場合、それが本業の利益にどの程度影響しているのかを詳細に分析し、通常の事業活動による利益を正確に把握しようと努めます。そのため、企業側は一過性損益の詳細と、それが将来の経営に与える影響を明確に説明する必要があると言えるでしょう。
融資審査で金融機関が重視するポイント(減価償却編)
減価償却に関しても、融資審査で金融機関が重視するポイントの一つになります。金融機関はどのような点に着目するのか、具体的な内容を理解しておきましょう。
減価償却の適正額計上
前述した通り、減価償却とは設備や建物などの固定資産の価値を使用年数に応じて費用として計上する会計処理のことです。そして、減価償却の金額が適正に計上されているかどうかは、金融機関が企業の財務状況を評価する上で極めて重要なポイントになります。
適正な金額が計上されていない場合、減価償却を過少に計上して利益を実態以上に見せていると疑われる可能性があり、融資審査にマイナスの影響を与えるかもしれません。一方、適切な基準に基づき計上されている場合、財務データの信頼性が高まり、企業の健全な経営姿勢が評価されるでしょう。
減価償却の定期的な実施
減価償却が定期的に行われているかどうかも、金融機関が注目するポイントです。なぜなら、減価償却を継続的に実施している企業は、資産管理や財務管理が適切に行われていると判断されるためです。
一方で、減価償却を怠ると資産の価値が過大に計上され、財務状況が実態とは異なる形で見えてしまうため、金融機関からの信用を損なう可能性があります。融資審査を有利に進めるためにも、定期的に減価償却を行うように意識しておきましょう。
融資審査を有利に進めるためのポイント
希望通りの融資を受けるためには、融資審査において意識すべき点がいくつか存在します。最後に、融資審査を有利に進めるためのポイントについてご紹介します。
財務状況の透明性を高める
融資審査を通過するためには、正確で詳細な財務情報を提示することが大切です。貸借対照表や損益計算書など、必要な書類をきちんと整備し、企業の現状をわかりやすく伝えましょう。
また、今回ご紹介した債務償還年数や借入金月商倍率などの指標を計算し、健全性をアピールすることも有効な手段になります。財務管理を丁寧に行っている企業は、金融機関からの信頼を得られやすい傾向にあるため、日頃から入念に準備をしておきましょう。
損益計算書に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
事業計画を具体的に立てる
金融機関は、企業に貸し付けた借入金がどのように活用され、どれくらいの期間で返済できるのかを重要視します。そのため、資金の使い道や収益見込みなどを明記した事業計画書を用意することが大切です。
そして、事業計画書の内容に成長戦略やリスク対応策などを追加することで、計画の現実性をアピールできます。このように、説得力のある事業計画は融資審査を有利に進めるための鍵になると言えるでしょう。
事業計画書に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
金融機関との信頼関係を築く
融資は単なる資金提供ではなく、金融機関とのパートナーシップの一つだと言えます。そのため、こまめに事業の状況や進捗を報告するなど、金融機関の担当者と密にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築することが大切です。
特に、過去の融資の返済実績や迅速な対応は、信頼度を高めるための重要な要素になります。そして、金融機関との信頼関係を築くことで、融資条件の緩和などに繋がるケースもあるため、この点は確実に意識しておきましょう。
専門家のサポートを活用する
融資審査で注意すべきポイントは多岐にわたるため、経験豊富な税理士への依頼が有効な選択肢になります。税理士のサポートを受けることで、審査に向けた適切なアドバイスを受けられるほか、各種書類の作成も効率的に進められます。このように、融資審査を手間なく有利に進めるためには、専門家への相談を前向きに検討するとよいでしょう。
なお、大谷聡税理士事務所でも融資や資金調達に関する相談をお受けしています。関心のある方は、問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
まとめ
本記事では、金融機関が現預金をどのように評価するのか、その影響と具体的なチェックポイントなどを解説しました。
金融機関の融資審査においては、現預金や売上、利益など、様々な項目が細かく確認されます。そのため、融資の承認を受けるためには、金融機関が重視するポイントを理解し、入念に事前準備を行うことが大切です。
もし、自分ひとりで判断できない場合は、専門家への相談も有効な選択肢の一つになります。プロの目線から助言を受けることができ、スムーズに手続きを進められることはもちろん、困った時に相談を行うことも可能です。
そして、資金調達に関してお悩みであれば、ぜひ大谷聡税理士事務所へご相談ください。代表の大谷は 30 年以上銀行員として勤めていた経験があり、中小企業診断士の資格も保有しているため、企業様の融資や資金繰り改善に関して強みを持っています。
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